不思議な物

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2004/02/09 新発見?

釣り合いの境界
 写真の鉄の玉の動きを観察すると、玉が宙に浮くポイントが磁石を中心に円状になるのに加え、その外側にも、磁力の反発する力と引き寄せる力が釣り合うポイントが、同心円状に広がっているように思えます。
 写真で玉のあるポイントは、はっきりと、力の釣り合いが分かるのですが、外側に広がる円では、あいまいな感じがします。その場所に留まっていても、ゆっくりと磁石に向かって動き出し、一番内側の円を越えてしまうと、一気に磁石にくっつきます。普通に考えると、この場所では、全く動かないか、磁石に引き寄せられるかしか考えられないのですが、たまに、磁石から離れるかのような動きを見せるのが不思議です。

 仮説
 磁石に対して、ゆっくりと玉を転がしていくと、赤い線のある部分で、くるりと円を描くように動いた後、磁石にくっつくことがあります。この動きで気づいたのですが、写真では、磁束は上下方向です。それに対して、電導性の鉄が横切るように動けば、鉄の玉に渦電流が発生し、磁界が生じ、その結果、そのような動きをするのかもしれません。渦電流による磁界は、動きを妨げる方向に発生するため、ゆっくりと磁石に近づいていくと考えられます。

 あとがき
 実は、この仮説を立てる前に、磁力にも干渉縞のような現象が発生するのかと考えてしまいました。永久磁石の磁力が波のように伝わるのかなどと考え込んだのですが、上記の仮説の方が、もっともらしいでしょう。(笑)
 仮説を立てると、別の実験をしたくなりました。今度、試してみたいと思います。
 永久磁石で浮上について、整理しましたので、興味のある方は、こちらをご覧ください。

2004/02/02 永久磁石で浮上?
鉄の玉浮上2  鉄の玉浮上3  鉄の玉浮上4
 永久磁石の下で、鉄の玉が、くっつくことも離れることもなく、浮いています。ただし、背後に透明な板があり、横方向の動きを制限しているので、完全に浮いているわけではありません。中央の写真は、まるで、宙に浮いているように見えますが、透明な板があります。同じものを横から撮影したものが右の写真です。

 2004/1/21の日記を読めば、この現象が、不思議な現象であることがわかってもらえると思います。「コロンブスの卵」的な発想で、これを実現しました。
磁石をどう置く?

 どうしたら浮くか
 写真を見れば、一目瞭然ですが、2個の円形磁石を隙間を空けてくっつけて、その下に鉄の玉を置くだけです。写真の磁石の隙間には、プラスチック製の板を挟んでいますが、紙(本)でも、かまいません。2個の磁石の間隔は、鉄の玉の直径と同じくらいが適当ですが、調整してみてください。上の写真では、次の磁石と鉄の玉を使っています。
 ネオジム(ネオジウム)磁石 丸型 直径22mm、厚さ10mm、表面磁束密度450mT
 鉄の玉 直径6mm

 ネオジム(ネオジウム)磁石は入手が難しいので、フェライト磁石を代用しても同じ現象を再現できます。しかし、力が弱いので、小さな鉄の玉しか、浮かびません。
 うまくいかないようなら、左の写真を左回りに90度回転させた状態で、鉄の玉の様子を見てください。まず、板を横に置き、その上に鉄の玉を置きます。磁石を上下(写真の状態なら左右)に動かすと、鉄の玉が磁石から離れる位置が見つかると思います。その状態から、徐々に板を傾けて垂直に近づけていきます。2つの磁石の隙間を調整して、もっとも良い間隔を見つけてください。

 原理
 仮説ですが、2つの磁石の隙間からの磁束と、外側からの磁束の影響により、この現象が起きると考えられます。隙間からの磁束と、外側からの磁束は極性が逆のため、隙間(つまり、磁石)に近づくほど、打ち消しあって、磁力が弱まります。また、磁石から離れるほど、磁力が弱まりますから、もっとも、磁力が強くなる位置に鉄の玉が留まると考えられます。(正確には、もう少し複雑な表現が必要だと思いますが、省略)
浮く原理

 あとがき
 板を反磁性材料にすると、完全に非接触で浮かせることができるかもしれません。私は反磁性材料が入手できませんので、どなたか実験してみませんか。反磁性材料をプレゼントしてもらえるなら、私が実験しますが。(笑)
 不思議な現象を発見したら、ぜひ、掲示板に書き込んでください。
 今回は、不調のサーバーの復旧に時間をとられてしまいました。何があったか知りたい方は、不定期日記をどうぞ。

2004/01/19(21.追加) アーンショウの定理
 永久磁石で浮上2の1個の鉄の玉を浮上させる実験は、こうすれば、ああなるだろうという予測が的中した珍しい実験でした。予測の範囲にある以上、これまでの科学の常識を覆すものではありません。単なる「コロンブスの卵」的な発想です。では、実験に至る経緯を説明します。

 アーンショウの定理
 アーンショウの定理をインターネットで検索すると、
「電荷の存在しない領域でポテンシャルは極大値も極小値もとらない」
とありました。今回の実験の対象は磁力なので、分野が異なる気もしますが、言っている事は磁力でも成り立つでしょう。
今回の実験に合わせて、限定的に解釈すると、次のようなことだと思います。
アーンショウの定理
 上の左のグラフで示すように、距離が離れるほど力が弱くなりますが、その変化は、減り続けるだけで、途中で増加することはありません。右のグラフのような形にはならないのです。

これを磁石と鉄の玉に当てはめてみると、次のようになります。
磁力と距離の関係
 左の図では、力の向きを矢印の向きに、力の強さを矢印の数で表現しています。磁石に近いほど、上向きの力が強くなります。これを右のグラフのように表現してみます。上向きの力を90度回転し、右方向にとっています。

 宙に浮くには
 鉄の玉が宙に浮くためには、重力と磁力のバランスがとれなければなりません。上のグラフに重力と、重力と磁力の合力を加えたものが下のグラフです。緑が重力、青が磁力、黒が合力を表しています。
磁力と距離の釣り合い
 グラフには、重力と磁力の合力が0。つまり、釣り合って、宙に浮く場所が存在します。では、その場所で実際に浮くのかといえば、かなり難しいでしょう。なぜなら、釣り合う点から、わずかでも上の場所では、上向きの力が働き、磁石にくっついてしまいます。逆に、わずかでも下の場所では、下向きの力が働き、落ちてしまうからです。玉のりをするくらい難しいのです。
磁力と距離の釣り合い
 仮に、上のグラフのように、釣り合う点から上に行けば下向きの力が働き、下に行けば上向きの力が働くような形にできれば、安定して宙に浮くことができます。「アーンショウの定理」が崩れ、右のグラフのような形になれば、同様に、鉄の玉を宙に浮かせることができるのです。

 磁石を横に置いたら
 磁石を板の横に置けば、鉄の玉がくっつき宙に浮いて見えるのは、誰でも知っていると思います。その場合の力の分布を考えてみます。
磁石を横に置いたら
 上の図は、紫の板に鉄の玉がくっついている様子を表しています。磁力の水平成分は板の反力で打ち消されますので、垂直方向のみを考えます。磁力は、上の位置では下向きであり、下の位置では上向きです。
 これに重力を考慮に入れ、合力を求めたのが右のグラフです。磁石の中心位置より、少し下がった場所で、釣り合っています。

 磁石をどう置くか
 垂直な板に鉄の玉をくっつけて浮かせる磁力の分布が分かりました。では、磁石を横ではなく、上に置いて、同じような磁力の分布にするには、どうすればよいかと考えてみます。
 永久磁石で浮上2の写真を横から表したのが下の図です。磁力が図に近い形になるように、磁石の部分を工夫していますが、詳細は次回に。単純な形の磁石を単に置いただけでは無理です。
磁石をどう置く?

 あとがき
 今回は、誰もが再現できるくらいの情報を公開するつもりだったのですが、残念ながら、ここまでです。土曜日の夜くらいから、サーバーが不調で、復旧に時間をとられてしまいました。月曜日現在でも、不調です。
 サーバーが回復すれば、次週、この続きを公開する予定です。

2004/01/14 永久磁石で浮上2
強力な磁石が入手できましたので、永久磁石で浮上に再度、挑戦してみました。用意したのは次の物です。

ネオジム(ネオジウム)磁石
 丸型   直径22mm、厚さ10mm、表面磁束密度450mT
 リング型 直径26mm、穴の直径20mm、厚さ6mm、表面磁束密度350mT
鉄の玉 直径6mm

 リング型の磁石を使って、下記の記事の再現を試みました。
高校生が定理覆す大発見? 永久磁石で鉄球が浮上(共同通信)

結果は、再現できませんでした。情報不足です。詳細をご存知の方がおられましたら、掲示板に書き込んでいただけると助かります。

 永久磁石で浮上?
 先の現象の再現はできませんでしたが、興味深い現象を発見したので、報告します。
鉄の玉浮上
 鉄の玉は、背後にある透明な板に接触していますが、磁石にくっつくことも、離れることもなく浮いています。透明な板の背後には木がありますが、これは、撮影のために透明な板が倒れることを防いでいるだけで、なくても同じです。要点をまとめると
・透明な板が横方向から鉄の玉を支えているので、完全に浮上しているわけではありませんが、磁石につかず離れずの場所に留まっています。
・磁石を動かすと、鉄の玉も動きます。
・板の支えがないと、鉄の玉は落ちたり、磁石にくっつきます。

 考察
 磁石は、表と裏がNSになっているタイプです。
 同様の現象は、板の裏に磁石を置くと、もっと簡単に実現できますが、これでは不思議でもなんでもありません。(笑)
 この現象が不思議なのは、磁石の方向へひっぱられないで、しかも、落ちないことにあります。
 普通、磁石の周りに鉄の玉を置くと、どのような方向からでも磁石にくっつきますが、工夫をすると、このような現象が起きるようです。現在、いろいろ試し、仮説を考えましたので、この現象の詳細は、次週、公開する予定です。
 参考までに、この現象の場合、フェライト磁石でも再現できそうです。

 あとがき
 以前の記述で、岩手日報の原理の説明に疑問を持っていると発言しましたが、今は、その説明が合っているのではないかと思っています。最初は、研究者の説明を記者が間違えて記事にしたのだろうと感じていたのですが、実験で再現できないことや、磁石をいろいろいじっているうちに、その可能性も考えられると思いました。いずれ、正式な発表があるでしょうから、それを見てから、改めて考えてみたいと思います。
 ネオジム(ネオジウム)磁石を初めて使ってみましたが、想像以上に強力でした。普段、磁石に付かないだろうと思っているものもくっつきます。

2004/01/05 クーロン力
今回は、クーロン力について、考察してみました。イオンクラフトや静電発電機などの力の源です。
「静電気の話」という書籍の一部を検証してみました。

クーロン力は、電荷の間に働く力のことをいいます。簡単にいえば、電気の+と+(あるいは、-と-)であれば反発し、+と-であれば引き合う力のことです。
この力が、どのくらいの大きさであるのか、具体的に考えてみます。

1cm 3 のアルミに含まれる電子(-)と陽子(+)が1m離れた場所に集められたときに働く力は、どのくらいか?

クーロン力は、次の式で表されます。
式1
距離r[m]離れた電荷Q 1 [C]、電荷Q 2 [C]に働く力F[N]。
誘電率ε(真空中では、8.85×10 -12 [F/m])

1cm 3 のアルミの電荷Qを求めます。
まず、1cm 3 のアルミに、どれだけの電子があるのかを考えてみます。
アルミの密度は、2.7g/cm 3 ですから、質量は2.7gです。
アボガドロ数(6.022×10 23 )個の原子の質量は、原子量(アルミの原子量は26.98)gです。
式2
原子が、6.026×10 22 個あることがわかりました。
アルミの原子番号は、13です。つまり、1個の原子に13個の電子があります。
また、電子1個の電荷量は、e=1.60×10 -19 [C]ですから、
6.026×10 22  × 13 × 1.60×10 -19  = 1.253×10 5

1cm 3 のアルミの電荷量は、1.253×10 5 [C]です。 これを、最初の式に当てはめて、力を求めると式2
14×10 18 [Kgf]です。

1cm 3 のアルミには、かなりの力が働いていることがわかりました。この力を利用できれば、自動車を浮かすことさえ簡単なことのように思えます。しかし、実際には、この内のわずかな力しか利用できないため、非常に小さな力しか得ることができません。そもそも、アルミの電子(-)と陽子(+)を1m離すことの方が、よほど大変です。
 でも、何千万分の1でも取り出せたら、凄いことになりそうですね。

2003/12/29 永久磁石で浮上
 永久磁石でパチンコ玉が浮上したという下記の記事をみて、再現しようと試みました。
高校生が定理覆す大発見? 永久磁石で鉄球が浮上(共同通信)
世界初 永久磁石使い鉄球を安定浮上(岩手日報)

まず、ホームセンターに行き、直径30mmと45mmのリング状のフェライト磁石を購入しました。
鉄球は、以前、玉振り発電機で使った直径3mmのベアリングと、東急ハンズで購入した直径6mmの鉄球です。
ケースには、CDケースを使いました。

再現できません。
記事では、どのような磁石を使ったのか。ケースの様子、特に横から見た様子がわかりません。情報不足です。どこかのウェブニュースで、動画が配信されたらしいのですが、残念ながら、期限切れなのか見れませんでした。
岩手日報では、簡単に原理の説明が行われていますが、あのような磁力線が発生する磁石を知りません。そのような磁石を作ることは可能だと思いますが、一般に入手するのは難しいと思います。はっきりいえば、原理の説明に関しては間違っているのではと疑っています。原理の図が、横から見た図であれば理解できるのですが、真相はいかに。
誤解のないように言っておきますが、浮上したのは事実だと思います。ただ、原理の説明に疑いを持っているだけです。

 疑問、課題、今後の予定
 今回の実験で、思い浮かぶことを徒然と。
・フェライト磁石では、力不足なのではないか。パチンコ玉が、あの距離で吸い付くことからも、かなり、強力な磁石を使っているだろう。
・透明なケースが、横から鉄球を支えているのではないのか。つまり、ケースがなければ、手前から磁石へ回り込んでくっつくのではないか。浮いている玉は、どこにも接触していないのだろうか。
・フィードバック制御を用いるなら、不思議な現象ではない。永久磁石の力で鉄球が、簡単に浮上することが不思議。
・磁石同士の反発や吸引で浮上するおもちゃは売られているので、磁石同士なら不思議ではない。それでも、十分興味深いのですが。
・超伝導により、磁石が浮上する現象。あるいは、今回の話題のように、吊り下げられる現象はあるらしい。それとの関係はあるのか。
・岩手日報の原理の説明にある磁石は、リングの左右にNSが分かれているらしいが、注文した磁石は、表裏がNSに分かれているタイプ。いいのか?(苦笑)。
・あれだけ、強力で、大きな磁石は、1万円以上するだろう。私には、手が出ない。だから、小型で我慢しよう。

 強力な磁石を注文しましたので到着待ちです。年末年始の休みで通販が動いていないので、この続きは、2週間後になりそうです。それにしても、論文が出るまで、詳細な実験の様子は公開されないのでしょうか。それが、分かれば、私の実験費用と時間が節約できるのに。

 あとがき
 静電発電機を販売しているサイトを見つけました。
科学製品、物理製品、電子製品

ヴァンデグラフ静電発生機(20万ボルト)、手動式静電発生機(5万ボルト)が気になります。でも、趣味で買うには高すぎです。6cmのスパークは、ぜひ見てみたいので、このあたりを、3号機の目標にしたいと思います。
 私の静電発電機では、15cmの円板を使っていますが、商品は25cmの円板を使っているようです。大型化しないと、高電圧は難しいのでしょうか。
 

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